屋根の庇が隣地にはみ出している、隣の木の枝が入ってきている、塀がどちらの敷地に建っているか分からない——越境は、古い住宅地では珍しくありません。
越境があると何が問題か
買主にとっては、購入後に隣地とトラブルになるリスクです。金融機関も、越境が解消されていない物件には慎重になることがあります。放置したまま売り出すと、契約直前に発覚して値引き交渉や白紙解約の原因になります。
よくある越境
- 建物の庇・雨樋・出窓/建築当時から越境しているケース
- ブロック塀・フェンス/どちらの所有か不明なことも多くあります
- 樹木の枝と根/枝は所有者に切ってもらうのが原則ですが、2023年の民法改正で、催告しても応じない場合などには自ら切除できるようになりました。根は従来から自ら切れます
- 給排水管・ガス管/地中のため、図面や工事記録で確認します
- エアコンの室外機・カーポート
撤去しなくても売れます
越境を解消するのが理想ですが、建物の一部であれば撤去は現実的でないことがほとんどです。実務では覚書(越境の是正に関する合意書)を隣地所有者と取り交わす方法が一般的です。
覚書に盛り込む内容
- 越境している物件と、その位置・状況の特定
- 現状のままで問題としないこと
- 将来の建て替えや修繕の際に是正すること
- 越境部分について通行や使用を妨げないこと
- 所有者が変わった場合も、この合意を承継させること(これが最も重要です)
最後の項目がないと、買主にとって意味のある書面になりません。必ず入れてください。
写真と図面を残す
覚書には、越境の状況が分かる写真と、位置を示した図面を添付します。文章だけでは、後から「どこの話か」が特定できなくなります。
隣地の協力が得られない場合
関係が良好でない、所有者が遠方にいる、相続未登記で所有者が確定していない——こうした事情で覚書が取れないこともあります。
その場合は、越境の事実を買主に明示したうえで、価格に反映させて売却するという選択になります。売れなくなるわけではありません。むしろ、隠して売って後から紛争になるほうが深刻です。
売却前の確認が結果を分けます
越境は、境界を確定する過程で判明することがほとんどです。売り出す前に登記情報・公図・測量図の確認と、現地での目視確認を行っておけば、覚書の取り交わしまで余裕を持って進められます。
前橋不動産では、これらの調査と隣地への打診を代行しています。「隣との関係が微妙で言い出しにくい」という場合も、第三者である当社が間に入ることで話が進むことがあります。不動産売却をご検討の方は、まず現状のままご相談ください。

