不動産の売買契約では、契約時に手付金を授受します。金額の相場、解約したときの扱い、そしてよく誤解されるクーリングオフについて整理します。
手付金の相場と役割
手付金は売買代金の5〜10%程度が一般的です。3,000万円の物件なら150万〜300万円ほど。これは代金の一部前払いであると同時に、解約する権利の対価という性格を持ちます。
なお、売主が不動産会社で買主が個人の場合、宅地建物取引業法により手付金の上限は代金の20%と定められています。
手付解除のルール
契約後でも、相手方が履行に着手するまでであれば解約できます。
- 買主から解約/支払った手付金を放棄する(手付流し)
- 売主から解約/受け取った手付金の倍額を返す(手付倍返し)
「履行の着手」とは、買主が代金の一部を支払う、売主が引渡しの準備を始めるといった行為です。契約書には手付解除の期限が明記されるのが通常で、この日を過ぎると違約金による解除しかできなくなります。違約金は売買代金の10〜20%が一般的で、手付解除よりはるかに重い負担です。
クーリングオフは原則として使えません
ここが最も誤解されやすい点です。不動産の売買契約に、一般的な意味でのクーリングオフはありません。
宅地建物取引業法にはクーリングオフの規定がありますが、適用されるのは売主が宅建業者で、かつ事務所以外の場所(喫茶店、自宅への訪問販売など)で契約した場合に限られます。この条件に当てはまれば、告知を受けた日から8日以内に書面で解除できます。
個人間の売買や、不動産会社の事務所で契約した場合は対象外です。「後から考え直せる」という前提で契約しないでください。
ローン特約は必ず確認を
買主が住宅ローンを使う場合、ローン特約を付けるのが通常です。融資が承認されなかった場合に、手付金を返還したうえで契約を白紙解除できるという条項です。期限が定められているため、審査結果が出る時期を踏まえた設定になっているか確認してください。
前橋不動産では、契約内容を事前に丁寧にご説明し、疑問が残ったまま署名いただくことはありません。よくあるご質問もあわせてご覧ください。
手付金は誰が保管するのか
手付金は、原則として売主が直接受け取ります。不動産会社が預かるわけではありません(売主が宅建業者の場合は、一定額を超えると保全措置が義務づけられます)。
個人間の売買では、契約時に現金または振込で授受し、決済時に売買代金の一部として充当します。領収書の発行を忘れずに行ってください。
契約から決済までの流れ
- 売買契約/重要事項説明を受け、契約書に署名押印、手付金の授受
- 買主の住宅ローン本審査/3〜4週間程度
- 融資承認/ここでローン特約の期限を通過します
- 決済・引渡し/残代金の支払い、所有権移転登記、鍵の引渡し
契約から決済まではおおむね1〜2か月です。この間に売主がすべきことは、引越しの準備、公共料金の精算、境界の確認、付帯設備の整理などです。
白紙解除と違約解除の違い
白紙解除(ローン特約による解除)
買主の住宅ローンが承認されなかった場合、契約は最初からなかったことになり、手付金は全額返還されます。ペナルティは発生しません。ただし、買主が意図的に審査を通さなかった場合などは適用されません。
違約解除
手付解除の期限を過ぎた後に一方的に契約を破棄する場合です。売買代金の10〜20%を違約金として支払うことになります。3,000万円の物件なら300万〜600万円という重い負担です。
「気が変わった」で済まされる金額ではありません。だからこそ、契約前に条件を十分に確認することが重要です。
契約前に必ず確認したいこと
- 手付解除の期限はいつまでか
- ローン特約の期限と、対象となる金融機関・融資額
- 引渡しの時期と、引渡し猶予の有無
- 契約不適合責任の範囲と期間(免責か、何か月か)
- 付帯設備表に記載された設備の状態
- 固定資産税の精算方法(起算日をいつにするか)
前橋不動産では、契約書の読み合わせを事前に行い、疑問が残ったまま署名いただくことはありません。ご不安な点は何度でもお尋ねください。

